新潟県燕市在住の愛刀家、十河浩(そごう ひろし)さん(64)が収集した32振りにのぼる平安時代から江戸時代の刀剣が並ぶ「刀剣の世界展」が、10日から3月2日まで燕市産業史料館(新潟県燕市大曲)で開かれている。
新選組の沖田総司の愛刀の刀工と同じ加州清光の脇差と大和守安定の刀、天下五剣のひとつ「三日月宗近」を作った三条宗近の弟子、近村の太刀、壁に立てた槍(やり)の刃にふれたトンボが真っ二つに切れたという「蜻蛉切(とんぼぎり)」を作った藤原正真の十文字槍。
山城守藤原百国入道一虎の大千鳥十文字槍、堀川国広の弟の国政の脇差、「芋洗う うちやいつしか 月のさえ」の彫付句がある後藤一乗の小柄(こづか)、本阿弥琳雅が研いだ無銘伝来国光の太刀。愛刀家をうならせるコレクションがずらりと並んでいる。
人気の刀剣育成シミュレーションゲーム「刀剣乱舞」に登場する作者の刀剣も多く、さっそく初日から燕市内の刀剣女子が訪れ、興奮を抑えきれないように目を輝かせて鑑賞していた。
刃文が見やすくなる照明を設置し、自分で刃を照らして見るためのライトを貸し出している。分解した刀で各部の名称の紹介する展示や日本刀の種類などの基礎的な知識や専門用語、鑑賞のポイントなどを紹介するパネルも展示。会場で刀剣に関する知識を一通り学ぶことができる。
十河さんは自衛官を退官して2016年から燕市役所に勤務する危機管理監。香川生まれの大阪育ちで、29歳で刀剣に目覚めた。日本美術刀剣保存協会会員。「パチンコもたばこもやめ、小遣いもボーナスを大半を刀剣に費やした」と笑う。
「刀剣の刃物の美しさに魅入られた」と十河さん。何も考えずに無心で10振りも手入れすると1日が終わる。「休みの日に刀を手入れしながら鑑賞するのが至福の時間」と話している。
1月26日(日)と2月9日(日)の2回、いずれも午後2時から3時まで展示品解説会を開き、十河さんが開設する。参加無料だが、入館料が必要。
開館時間は午前9時から午後4時半まで。休館日は月曜で、月曜が祝日なら翌火曜に休館する。問い合わせは燕市産業史料館(0256-63-7666)。