新潟県燕市在住の愛刀家、十河浩(そごう ひろし)さん(64)が収集した32振りにのぼる平安時代から江戸時代の刀剣が並ぶ「刀剣の世界展」が10日から3月2日まで燕市産業史料館(新潟県燕市大曲)で開かれている。その展示品解説会が26日開かれ、100人近くが来場。刀剣愛好者の幅広さと熱量の高さを象徴する記録的な大入りだった。
所有者の十河さんによる展示品解説会で、2月9日(日)と合わせて2回が計画された。1回目の26日は会場に入りきらないほど大勢の参加があった。
参加をあきらめて帰った人もいたことから当初、計画した2回に加えていずれも日曜の2月2日、23日、3月2日の3回を追加して計5回、開くことにした。内容は1回目と同じでいずれも午後2時から開く。
26日の展示品解説会は、今まで刀剣にふれてこなかった人から実際に刀剣を収集している人、刀剣育成シミュレーションゲーム「刀剣乱舞」のファンなどまちまちだった。
十河さんは、刀剣を1本ずつ順番に入手した経緯や生まれた背景、魅力などを話した。十河さんの名調子とともに語られる日本刀の歴史と美、その魅力に迫る解説は参加した人を満足させ、解説が終わると大きな拍手がわいた。メモを取りながら聴き入る人も多かった。
新潟市秋葉区在住の30代の刀剣女子は「初心者にも優しい解説と鑑賞用ライトの貸し出しとか、ほかの美術館にはないもので、すごく敷居が低くて親切な解説会でした」と大満足だった。
「ふつうの美術館だと自分で見てどれだけ感じとって持って帰れるかみたいなところですが、今回は豆知識もいっぱい散りばめられて人に話したくなるような内容でした。鮫皮はサメの皮じゃなくてエイの皮なんですって」と目からうろこの情報も多く、一段と刀剣の沼にはまっていた。
最年少は新潟市東区から解説会に行きたいと家族に頼んで連れて来てもらった小学校3年の男の子。戦国時代の歴史が好きでタブレットで「刀剣乱舞」を楽しむこともある。
自分でデジカメで展示品を撮影し、「いろんな話が聞けて楽しかった。加州清光の大和守安定がかっこよかった」と声を弾ませた。
十河さんは「こんなにたくさん来ていただいて本当にありがたいことですよね。刀が好きな方はたくさんいて、でも今まであまりにも難しいことばかり言ってたから、取っ付きにくかった。できるだけ平易にわかりやすく説明したので、最後に拍手をいただき、良かったな、ご理解いただけたんだなと思った」と振り返っていた。
展示品解説会の参加は無料だが、入館料が必要。問い合わせは燕市産業史料館(0256-63-7666)へ。