ジャパン・ツバメ・インダストリアルデザインコンクールは、燕市物産デザインコンクールを前身に、48回目となった今回は31社から46点の応募があった。
グランプリを受けたアイデアセキカワは、主にOEMでさまざまな製品を企画しているが、2020年からアウトドア用品の開発製造に取り組んでいる。
そのなかで挑戦したのが先割れスプーン。古くは中世から存在したとも言われるが、日本では学校給食用として燕市で誕生したとされる。
しかし、はしの使い方を知らない子どもが増えたといった理由から廃れつつあるが、近年になって少しでも荷物を減らしたいアウトドア用品として再び注目されている。
アイデアセキカワは、世界で数百はある先割れスプーンのなかでどう差別化を図ろうかと、数百種類のある先割れスプーンとの差別化を図ろうと、世界一の軽さへの挑戦を明確な目標、付加価値として製品作りをスタートした。
世界中のカトラリーを集め、いちばん軽かったのがチタン製の9グラム。それより軽くするために、チタンより比重の軽いアルミを素材に選んだ。しかし強度ではチタンに劣る。デザイナーと一緒に構造から設計して、湾曲を入れて強度を上げた。
開発には課題もあった。試作ではすでにある最も軽いものと同じ9グラムになった。これでは太刀打ちできない。材料のアルミを厚さ1.0ミリから0.8ミリに変更し、金型も作り直さざるを得なかった。
結果、完成した先割れスプーンは7グラム。手に取ると紙製かと疑うほど驚異的な軽さを実現した。滑らかでスタイリッシュなデザイン。フォーク部分を一般の先割れスプーンより長めにし、フォークとしての使い勝手を向上させた。昨年は世界3大デザイン賞のひとつ「iFデザイン賞」を受賞している。
グレー、ブラック、ホワイトの3色展開で価格は税別1,800円。2023年発売で、これまで約1万本近くを販売した。
表彰式に出席した関川亜久里取締役は、受賞者代表のあいさつで、「いろんな人に手に取って使っていただいているが、とくに登山をされる人に非常に好評をいただいている。そこをねらったわけではなかったが、そういった部分で評価されて大変うれしく思っている」と話した。
ジャパン・ツバメ・インダストリアルデザインコンクールでは、ほかに準グランプリと優秀賞が2点ずつ、審査委員特別賞7点を表彰した。
また、学生や若手デザイナーと燕市内のものづくり企業とのマッチングを図り、付加価値の高い新製品の開発を行うことを目的とする「若monoデザインコンペティション燕」には135件の応募があり、3件を大賞に決めた。受賞結果は次の通り。
デザインコンクールの部 受賞者 | |||
賞名 | 企業名・製品名 | 受賞製品 | 受賞者 |
---|---|---|---|
グランプリ 経済産業大臣賞 |
有限会社アイデアセキカワ(燕市) 「HOVERLIGHT SPORK」 |
![]() |
![]() |
準グランプリ 経済産業省製造産業局長賞 |
吉田金属工業株式会社(燕市) 「GLOBAL CAMP」 |
![]() |
![]() |
準グランプリ 中小企業庁長官賞 |
株式会社ヨシカワ(燕市) 「EAトCO Saku」 |
![]() |
![]() |
優秀賞 関東経済産業局長賞 |
株式会社タマハシ(燕市) 「漆磨ストレートタンブラー 朧・赤」 |
![]() |
![]() |
優秀賞 新潟県知事賞 |
株式会社新潟成型(燕市) 「分割式組立パレット」 |
![]() |
![]() |
審査委員特別賞 | 株式会社燕三条キッチン研究所(燕市) 「ライスクッカーデュオ」 |
||
審査委員特別賞 | オリエンタル工業株式会社(燕市) 「自立する立ち作業用草刈りばさみ」 |
||
審査委員特別賞 | 有限会社せきかわ工芸(燕市) 「サーバーロック VORTEX」 |
||
審査委員特別賞 | 株式会社ツインバード(燕市) 「首振りがいらないサーキュレーター」 |
||
審査委員特別賞 | 燕物産株式会社(燕市) 「Stilla」 |
||
審査委員特別賞 | 株式会社ビーワースタイル(燕市) 「すっきりクラスジャグボトルスタンド」 |
||
審査委員特別賞 | 株式会社宮崎製作所(燕市) 「ごはん鍋」 |
||
若monoデザインコンペティションの部 受賞者 | |||
賞名 | 受賞者・作品名 | 受賞者 | |
大賞 | 有限会社ミヤケデザイン・大川航平(東京都) 「Mingle」 |
![]() |
|
大賞 | Arai M Design・新井マホ(東京都) 「しみしみー味しみをよくする隠し包丁をさっくり簡単にー」 |
![]() |
|
大賞 | 東北芸術工科大学・ウィンストン健治郎(山形県) 「Grate Bowl」 |
![]() |