新潟県燕市宮町、戸隠神社の春季例大祭で18日、みこし行列が行われた。行列をまかなう人員の確保が困難になったことから事実上、ことしが最後のみこし行列となった。
少子高齢化に加えてドーナツ化が減少で、かつて燕の中心地だった氏子町内は最盛期の約2,000戸が今では約400戸に減った。そのうち戸隠神社の崇敬者となるとさらに半分ほどしかない。
神輿行列は、かつては大名行列とも呼ばれたが、行列を先導するやっこを確保できなくなって大名行列の看板を下ろした。さらにみこし行列は担ぎ手が足りなくなったため台車に載せて引く形に変えた。
燕御神楽神伶(しんれい)会やシルバー人材センターの手を借り、さらに昨年からはミャンマー人研修生の手も借りている。
しかし人員確保もいよいよ限界を迎えた。祭り行事は見世物ではない。氏子の参加がない借り物の祭礼行事では続ける意味がなく、神にも申し訳ない。星野和彦宮司はこうした行事で最後にしたいと明言した。
最後となったことしのみこし行列。約60人で編成した。戸隠神社でみこしの発輿祭(はつよさい)を行って御霊(みたま)をみこしに移し、太鼓やてんぐの先導で氏子町内をはらい清め、災厄を防ぎ、五穀豊穣や商売繁盛を願った。
途中、みこし行列と対照的に今も大いに盛り上がる戸隠神社の春祭りの名物、万灯の横も通って進んだ。砂盛で祝詞をあげ、万福寺(燕市灰方)の田辺良元副住職も読経を行った。万福寺はかつて戸隠神社の前身の戸隠大権現社を守ってきており、2018年に燕戸隠神社社殿再建百年記念大祭に参列した翌年から毎年、みこし行列に加わっている。
万灯を出した木場小路万灯組と横町万灯保存会の舞い込みが終わり、すべての行事を終わったところで、みこしを拝殿の前にすえて還御祭(かんぎょさい)を行って御霊を戻した。
最後に星野宮司は2つの万灯組への感謝の言葉とともに、「言うまでもなくわたしどもの鎮守さま、戸隠の神さまは岩戸開きの神さまであります。今、世の中は物価の高騰、また世界を見たならば紛争が絶えません。さらにはまた米国の大統領の高関税の問題で、世界中が経済で右往左往いたしております。わたしどもの大神さまであります戸隠の神さまの力によりまして日本の、また世界中の岩戸開きにしたいものだと思います」とあいさつした。