新潟県三条市・県立県央工業高校同窓会の総会が27日開かれ、同窓生186人が出席した。前日26日に県教育委員会が公表した県立高校などの再編整備計画で、2029年度に県央工業高校は三条商業高校と統合し、新たな専門高校「産業高校」として再編される計画が示され、あいさつでは少子化という厳しい現実を受け止めつつも、戸惑いや地域の未来を担う新たな学校像への期待が話された。
松縄嘉彦同窓会長はあいさつで、前日に統合が発表されたばかりとあって「非常に緊張している」と始めた。6月12日に県教育委員会と松原直樹校長とともに話し合いの場をもち、「1+1が2か、それ以上になるような高校をお願いする。それなら賛成する」と県教委に伝えたと報告した。
私立高校の無償化で公立高校の生徒確保が難しくなり、県央工業高校、その同窓会を取り巻く環境も厳しくなるなか、この統合が「いいモデルケースになるように県教育と学校関係者に強くお願いしていきたい」と方針を示した。
今の三条、燕、加茂の県央地域3市の出生数は合わせても900人しかならない。しかもそのうち15年後に統合された高校にどれくらいの生徒が入学するのかわからないが、「少子化が非常に進んでることをぜひ頭の片隅に入れておいてほしい。わたしもわたしの立場で一生懸命、いい統合ができるように頑張る」と約束した。
松原校長は、統合は未確定な部分があり、具体的な話はできないが、「在籍する生徒がしっかりと学び続けられ、ひとりひとりの進路希望を実現できる教育環境を引き続き整え、教育を通して地域で活躍、貢献するテクノロジストを育成するために、新たな価値創造を目指し、新事業創出への意欲と姿勢を育むよう取り組む」と述べた。
来賓の杉井旬県議は、少子化の進行が予想以上に早かったために再編のスピードも早まり、「元はひとつの学校だった両校が再び一緒になることに抵抗感は少ないのかも」と歴史的背景にふれた。単に合理化を進めるのではなく、「地域が本当に求めている人材は何かを考え、それに応える再編でなければならない」と、統合の質を問うことの重要性を強調した。
校舎がどうなるか決まっていないが、企業が求める多様な人材を育てる学校を目指すために「今ある校舎ではなく、例えばもうちょっと通学の便のいい、広域的な生徒が通える位置に新しい校舎をつくってはどうかなど、さまざまな意見が出てくると思う」と地元の意見を求め、それをしっかり県に伝えていくと話した。
「皆さまの母校がより良い人材を地域の企業に、あるいは地域の産業に提供して、この地域の発展に今まで通り、あるいは今まで以上に貢献していく学校をつくっていくことを手伝いたい」と述べた。
県央工業高校は2004年に三条工業高校と燕工業高校を統合して生まれた。さらにさかのぼれば三条工業は1963年に商工分離で三条実業高校から三条工業と三条商業に分かれている。前身に燕工業もあったとはいえ、県が示す「産業高校」ではなく、「三条実業」の名称の復活を求める声もある。
総会では、2025年度予算(収支とも495万円)を決めた。会費をこれまでの1人1万5000円から2万円に引き上げた。北信越大会出場の陸上競技部、北信越大会に出場して全国大会へ駒を進めたレスリング部とウエイトリフティング部、7月9日開幕する県高校野球選手権大会に出場する野球部の監督にそれぞれ激励費を手渡し、野球部にはバット2本を贈呈した。