新潟県三条市に本社を置く調理器具やアウトドア用品製造のパール金属株式会社の代表取締役会長、高波久雄さん(84)が代表理事に就く一般社団法人高波龍風記念財団は8日、地元の三条市立大学(アハメド・シャハリアル学長)の学生40人を高波龍風奨学金奨学生に認定した。
高波さんは3億円の私財を原資に自身の書道の雅号「龍風」を冠した財団を設立。2022年度から奨学生1人につき返済の必要がない月額4万円、年額48万円の奨学金を各学年10人に給付している。
8日は認定式を行い、高波さんから各学年代表に認定証を手渡した。高波さんは、ぴかぴか光るダイヤモンドより真珠のように奥深い光を放つ中身のある会社になろうという思いを社名に込めて「パール金属」を設立したことを話した。
これまで世話になった人に恩返しをしたくても亡くなったり、どこへ行ったかわかならくなってしまった人も多い。そこで恩送りをしようと思いつき、一般社団法人高波龍風記念財団を設立し、奨学金の給付を始めることにした経緯を話し、「健康に留意して一生懸命に勉強し、世の中のために頑張っていただきたい」と奨学生に未来を託した。
奨学生を代表して4年今井愛樹さんが礼を述べた。大学最終学年として卒業研究に取り組み、来春からの社会人生活に向けて準備を進めているところ。「支援によって学業に専念でき、課外活動にも積極的に取り組む環境を整えることができ、大変ありがたい。奨学金は生活費や卒業研究に必要な書籍の購入などに大切に使わせていただく。支援への感謝を忘れずに、大学での学びを土台とし、社会に貢献できる人材となるべく努力を重ねていく」と述べた。
シャハリアル学長は、奨学生は高波さんの「恩送り」の連鎖のなかにいる受益者であるとし、将来は支援を与える側の人間になることを目指し、与える喜びをもつ人間を育んでほしいと奨学生に期待した。