【燕中等教育学校】新潟市出身の外務事務官を講師にユネスコスクールの一環で講演を聴く (2025.7.10)

取材依頼・情報提供はこちら

新潟県立燕中等教育学校(原口央校長・生徒約400人)は9日、2009年から加盟するユネスコスクールの活動の一環で講演会を開いた。講師は外務省大臣官房国内広報室外務事務官の阿部祥菜(さちな)さん。「世界と繋がり外交の舞台を支える」のテーマで外交官を支える外務事務官が語るリアルな外交の最前線の姿を全校生徒が聴講し、世界への視野を広げた。

講演する外務省大臣官房国内広報室外務事務官の阿部さん
講演する外務省大臣官房国内広報室外務事務官の阿部さん

ユネスコスクールとは、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の理念や目的を学校運営や教育活動に広く取り入れ、「児童生徒の心の中に平和のとりでを築く」ことを目指す、ユネスコが認定する学校の国際ネットワーク。1953年に設立され、世界は182カ国で12000校、国内では1088校が加盟する。

燕中等教育学校ではその活動の一環として毎年、高校講座を開いている。今回は外務省職員が全国の高校を訪問し、外交や国際問題について講演する外務省の高校講座として開かれた。

阿部さんは新潟市内の高校、専門学校を卒業して2015年に外務省に入省した。入省の理由は「海外って楽しそう」、「海外で仕事できるのってかっこいい」とシンプルなものだった。スペインやメキシコでの勤務を経て、現在は国内広報室で活躍している。

講演では、外務省の役割を「世界の国々と安定した関係を築き、日本国民の利益を増進すること」と説明。日本のパスポートはビザなし渡航可能な国が多く「最強」と称される背景に、地道な外交努力があると紹介した。

要人訪問などを支える「ロジスティック(通称:ロジ)」と呼ばれる業務をにもふれた。会議の内容を詰めるのが官僚なら、外務事務官は会議を円滑に進めるための裏方、あらゆる調整役を担う。飛行機の発着許可から車両の手配、警備の調整まで仕事は多岐にわたる。

ユネスコスクールの活動の一環で講演会
ユネスコスクールの活動の一環で講演会

一例としてG20サミットでの経験を挙げた。ある国は、飛行機をタクシーのように使い、忘れ物のために追加の便を飛ばすなど、予測不能な要求が相次いだ。最終的に20機もの飛行機の発着をひとりで調整したときの苦労を語り、「数日、眠れない日が続いた」が、「大変さとやりがいは表裏一体の部分があると思った」。

ケニアでの首脳会談では、セキュリティーゲートの通過に手間取り、あわや会議に遅刻しかける事態になった。とっさに情にも訴えて警備員を説得。最後は花壇を走り抜けて会場に駆け付けたというエピソードも話した。

失敗はつきものだが、最終的に目標を達成できれば「自分の糧になる」、「失敗しても次はこうしようかなと思って次に行くという気持ちをもてばいろんなことに挑戦できる」。失敗を恐れず、失敗も前向きに受け止めることが重要と訴えた。

メキシコでの勤務経験から、文化の違いを乗り越えるヒントを話した。日本では食事中に空いた皿をすぐに下げられると急かされているように感じるが、メキシコでは「あなたを見てサービスしていますよ」というおもてなしの証だという。文化が違えば、当たり前も違う。その違いを理解し、尊重することが大切と強調した。

講演中、阿部さんは外国の人と信頼関係を築くにはどうするかと生徒に質問した。生徒は「相手の国を事前に調べる」、「笑顔で接し、話をよく聞く」といった意見が上がった。阿部さんはこれらの回答を称賛。まず自分が相手を好きになることで、「相手にとって何が重要かを理解する」ことが大切とアドバイスした。

職員玄関に掲示されているユネスコスクールのプレート
職員玄関に掲示されているユネスコスクールのプレート

質疑応答では「外交官の年収は?」といった率直な質問も飛び出し、阿部氏が「危険な国ほど手当が多くなる」と応じた。

最後に阿部さんは、海外へ行くと基本的に知らないことだらけだが、「きちんと相手に寄り添って、相手から見た自分の姿もイメージして相手と話すと、 そのものの見方がすごく変わってくる。 人間関係だけでなく物事でも一方から見るのではなく、いろんな方向から見ると違うことが見える。せっかく学生時代なので、いろんなことに挑戦して、いろんな人と出会ってみてくれたらいい」とエールを送った。

講演後、生徒代表は「国際関係にはたくさんの方々の支えがあって成立するものとわかった。ユネスコスクール加盟校のひとりとして、国際社会への理解を深めていきたいと思った」と謝辞を述べた。

関連リンク

spacer コンテンツ
spacer ショップ検索

公共施設も検索可能
分類別検索はここ

...詳細


燕三条のお悔やみ情報「縁をむすぶ」
三条パール金属スタジアム・サンファーム三条
公益財団法人燕西蒲勤労者福祉サービスセンター「タンポポ」
外山産業グループ 外山産業、外山工業、グリーンライフ、メッツ
損害保険・生命保険・資産運用のことなら株式会社エフピーエム
スポンサードリンク

■Copyright (C) kenoh.com Allrights Reserved.
三条・燕、県央の情報「ケンオー・ドットコム」kenoh.com