新潟県燕三条地域の(一社)燕三条青年会議所(齋藤和也理事長)は17日、市民が主体となって企画・運営する地域貢献事業「繋(つな)ぐプロジェクト」の事業成果報告会を開いた。移住者による観光ツアー企画、世代を超えて楽しむウォーキングサッカー、ゲームを通じたまちづくりワークショップと、市民ならではのユニークな視点で企画された3つのプロジェクトの成果が報告され、地域に新たな交流と活気を生み出す可能性が示された。
このプロジェクトは、同JC人間力委員会(蒲澤大輝委員長)が主管し、「地域貢献を主体性をもって行動に移せる人材を増やす」ことを目的に市民から企画を公募して実施した。JCメンバーは企画のサポートに徹し、市民のアイデアや情熱を形にすることを後押しした。
三浦佑太郎さん=きら星(株)=は、移住者が家族や友人に地元の魅力を伝える「オリジナルツアー」の企画プロジェクトを報告した。移住して間もないメンバーが集まり、「ペーパードライバーでも楽しめるツアー」や「地元の産業にふれるツアー」など、新鮮な視点からのアイデアが生まれた。
「初対面とは思えないほど活発な議論が交わされた。移住者と地元民がつながることで、我々も地域の魅力を再発見できた」と三浦さんは手応えを語った。
燕三条CITY FCの渡辺純淳一代表氏が報告したのは、「歩くサッカー」で多世代交流を目指すウォーキングサッカーイベント。6月に行ったイベントには、4歳の幼児から60代のシニアまで50人以上が参加し、会場は世代を超えた笑顔と歓声に包まれた。
渡辺代表は「孫と一緒にボールを蹴る姿もあり、参加者からはぜひまた開催してほしいとの声を多数いただいた。スポーツがもつ、つなぐ力を実感した」と述べた。今後は高齢者施設への出張開催なども視野に入れ、活動を広げていく方針だ。
蒲澤委員長から人気ゲーム「桃太郎電鉄」を題材にしたまちづくりワークショップを報告した。市民参加者が「燕三条版桃鉄」のオリジナル物件駅を考案した。地元のラーメン店から工場、ゴルフ場まで、具体的な収益額を想定したユニークなアイデアが50件以上も寄せられた。
ただ、コナミに事業計画書を提出するところまでには至らなかった。蒲澤委員長は「ゲームという共通言語を通じ、子どもからおとなまでが楽しみながら自分たちのまちの価値を再認識する素晴らしい機会になった」と振り返った。
最後に蒲澤委員長は「われわれはあくまでサポート役。市民がもつ『これをやりたい』という熱い思いが、プロジェクト成功の原動力となった。この活動を一過性のものとせず、継続的に支援し、市民が主役の地域づくりをさらに推進していきたい」と総括した。
今回の「繋ぐプロジェクト」は、市民一人ひとりがもつ力を引き出し、ともに行動することで地域を活性化させていく新しいモデルケースとして、今後のさらなる展開が期待される。