新潟県三条市の美術家を会員とする三条美術協会(池浦倫之理事長・会員74人)の会員展「第25回三条美術協会展」が18日、三条市体育文化会館で開幕した。ことしは三条市の合併20周年記念を冠した。版画部門の新設もあり、昨年より1点を多い61点の作品が並んでいる。会期は20日までの3日間。
初日18日は午前9時から会員らが参集して開場式とテープカットを行った。池浦理事長はあいさつで、1991年に326人の会員で発足した三条美術協会の歴史を振り返り、「芸術は常に新しいことに挑戦して、そのなかで切磋琢磨することによって自身が磨かれ、その行為によっていい作品が生まれる。そういった会員の61点を展示させていただいた」と述べた。
「近年は会員の高齢化や文化芸術自体の多様化の波の中にあって会員数は1/4ほどになったが、現会員はしっかりと先人たちの熱い思いを紡ぐべく、一生懸命、努力を重ね、努めている」と会員に敬意を示した。
三条市の滝沢亮市長は、ことしの三条美術協会展は三条市の合併20周年記念事業であることにふれ、三条美術協会に「三条市の合併後20年間も三条市の文化芸術活動を引っ張っていただいたこと、牽引していただいたこと、市民に芸術の素晴らしさ浸透していただいたことに心から感謝申し上る」と述べ、「この協会展が訪れる皆さまと会員の心を通わせる場になればいい」と願った。
笹川信子市議会副議長は「さまざまな分野で活躍されている人が市内に大勢いることは、三条市の誇り。このように市民が芸術を身近なところで鑑賞できることは素晴らしい限り」で、「創作活動に打ち込む皆さまにとって飛躍のきっかけになることを期待する」述べた。
展示作品は会員1人1点で、部門別では日本画6、洋画9、彫刻4、工芸8、書道15、写真9、版画10の内訳。版画部門はことし2月に新設されたばかりだが、すでに会員は11人を数え、うち10人が出展した。
版画部門の役員は、銅版画家の鶴巻貴子副理事長、木版画家の山田俊彦理事が選任され、その後、銅版の7人と木版の2人が入会した。鶴巻副理事長はことしで3年目になる三条市中央公民館の基礎の銅版画教室で講師を務めており、その教え子が入会した。
作品も評価されている。2年前の県展では教え子2人が入選。ことしは本間みや子さん=燕市=の作品「アレンジメント」がにいがた未来賞を受賞。美濃和紙とイタリアとドイツの紙、それに地元三条市の大谷和紙をコラージュのようにい組み合わせた独創的な作品で、会場にも展示している。
鶴巻副理事長は版画部門の新設について「版画の理解を深めてくれ、版画の技法に興味をもち、関心をもって知ろうとしてくれる人が増えていったらうれしい」、「自分の部門がないのに美術協会に入会するのはハードルが高かったと思うが、自分の専門の部門を認めてもらえたという気持ちになれば、入ってみようという人も増えると思う」とさらなる入会に期待している。
池浦理事長は「昨年の三条市美術展で初めて三条美術協会賞を出し、われわれの会を宣伝させてもらった。おかげで数人が入会して今回、作品を出してくれた。市展でも受賞者に三条美術協会を案内し、積極的に作品を出してくれた人もいる。勢いが出たというか、マンネリ化に少し新しい風が入り、勢いが出る、盛り上がると感じている」と喜んだ。
来賓の新潟県美術館連盟・伊藤省風理事長は、三条市とその周辺地域について、江戸時代にさかのぼって文人や三条画壇の歴史に残る場所で、美術界の活気のある場所と見てきた。
書道で言えば、三条高校、続いて三条東高校が力入れて流れができ、今、書道界で活躍してる書家は三条高校の卒業生が多く、「この地域はとにかく芸術、美術の熱い場所」と言う。
合併した年を含め2回、三条市展で書道の審査員を務めた。「その時、驚いたのが解説会にいっぱい市民が来られた。1点ずつ、これは何で賞に入れなかったか、これはここがいいから入れたとか全部、説明した」と市民の鑑賞の意欲にも感心した。
また、開場式に滝沢市長が出席したことに驚いた。「市長が来てくれるのは、三条市と十日町市だけ。すごいなと思った」と市長が出席する市政を喜んだ。十日町市の関口芳史市長は元三条市収入役で、三条市の市展開場式にならっているのかもしれない。
毎日午前9時から午後6時まで開場、最終日は午後4時まで。また、参加申し込みは締め切ったが20日午前10時から木版画の刷り体験ができるワークスショップも行われる。入場無料。出品目録は次の通り。敬称略。
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作品名
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阿部 涼泉 | 水温む | 牧野佳代子 | 纏の頃 |
岸本 昌子 | 花籠 | 松平 ミサ | 秋の足音 |
田巻 愼子 | 久遠 | 山嵜 正義 | 朝顔 |
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作品名
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池浦 倫之 | 雪国の一景(砕石場) | 鶴巻 信 | にほんかもしか |
岡田 静枝 | 教会 | 中村 悟 | シロツメクサーVivid |
下村 安子 | 風景 | 野島 幸子 | 花 |
鈴木 泰子 | 向こうの世界 | 渡邉美保子 | 山道に咲く |
高井 将行 | 描く人 |
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作品名
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大島 政代 | M・Kさん | 栗林ヒサ子 | フク子 |
岡田 仁 | 無題 | 西村真知子 | Mさん |
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作品名
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大橋 信義 | 炭化練込壺 | 長谷川 進 | 深緑樹映 |
梶澤 伸治 | 静韻 | 丸山 正夫 | 信楽自然釉壺 |
捧 徳弘 | 掛分茶葉碗 | 山本 志 | ゆず肌鉢 |
旅河 正也 | 星雲 | 渡邉 昭吾 | 八角金盤 |
名前
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作品名
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作品名
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石井 溪月 | 永遠のみどり | 田原 誠藍 | 杜甫詩 |
大竹 智光 | 木簡 | 中村 暢子 | 戀 舞 |
岡村龍宇杏 | 令和のむかしばなし | 中村 城翠 | 積小為大 |
川口 紫芳 | 明日香の風 | ?川 銕研 | 無窮 |
木原 光威 | 高村光太郎詩「牛」 | 皆川喜美子 | 孔結緒のことば |
小阪 幸江 | 千字文より | 矢引留美子 | こころの色 |
関川 司晶 | 胸より胸に | 山田 曉皋 | 直如髮 |
田中 昶雲 | 寛和(二字書) |
名前
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作品名
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名前
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作品名
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栗山 浩三 | 厳寒の農婦 | 丸山健太郎 | 晩冬 |
渋木 高志 | 悠々と | 丸山 公 | 降下訓練 |
田中登志夫 | 喜びの日 | 村山 勇 | 春めく日 |
長野 洋三 | 帰り道 | 弥田 正蔵 | 雨にも負けず |
橋本 良嗣 | 合併20 |
名前
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作品名
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名前
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作品名
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小川 敏郎 | マイスター(職人) | 本間みや子 | アレンジメント |
志田みゆき | Oasis | 目黒 順子 | しただ羅無虚無3's縁(明暗寺) |
島田 洋子 | 声が聞こえる | 山倉 歩 | 輪になって |
鶴巻 貴子 | Bouquet (un) | 山崎 岩雄 | 17歳を刻む |
西村真知子 | 光風に揺れる花々 | 山田 俊彦 | 薪・春日和 |