新潟県三条市の秋の風物詩でもある真宗大谷派三条別院(三条市本町2)の「お取り越し報恩講」に新たな取り組みでにぎわいを取り戻そうと、三条商工会議所青年部(三条YEG)が初のスイーツイベント「集え!甘味(かんみ)の陣」を企画した。宗祖親鸞(しんらん)があずきが好きだったという伝承にちなみ、「甘いものは人の心と体を笑顔にする」という着想の試みだ。
お取り越し3日目の7日(金)、午後2時から7時まで三条別院境内を会場に開かれる。県内の人気甘味処約30店が一堂に会し、和菓子や洋菓子、カフェメニュー、キッチンカーなど、さまざまば甘味を提供する。
お取り越し報恩講は、親鸞の祥月命日に勤める法要で、真宗門徒には1年で最も大切な行事。ことしも5日から8日までの4日間にわたって営まれる。
門徒に限らず市民にとっては、参道など周辺に臨時市の露店が立ち並ぶ風物詩。最盛期はざっと300店を数え、植木店が多く、苗木を買って育てると子どもが健やかに育つなどとも言われた。それが近年は20店ほどまで激減している。
この事業について8日、三条別院本堂で記者会見が行われた。三条YEGの山田賢会長は、神聖な場所でのスイーツイベントに「仏さまも笑っているのか、怒っているのか」と冗談を交え、「近年、夜のにぎわいが寂しくなったという声を聞くなかで、甘いものを集めて、歴史あるお取り越しを盛り上げたい」と、事業への熱意を語った。
事業を担当する「まちの活性化委員会」の石川譲副委員長は、自身は加茂市からの三条市への移住者であり、かつては秋のお取り越しが春の三条祭りと並び称されるほどの活気があったことを知ったがの、今回の事業のきっかけになったと話した。
親鸞があずき好きだったという点に着目し、甘味を軸にイベントを企画した。三条別院のお取り越し報恩講をあらためて市内外の人たちの憩いの場所として広く周知したい考えもある。
三条別院の主任、斎木浩一郎さんは、お取り越し報恩講が300年以上も歴史があり、一度も途絶えることなく続いていることにふれた。本堂の中は今も県内から多くの僧りょと門徒が集まる熱い宗教行事であることを強調。しかし露店が激減し、中と外の温度差を埋める媒介役として今回の企画の実現に感謝した。「甘味の陣」が実現したことに感謝を述べました。
出店店舗は募集中だが、すでに市外の新潟市や村上市、近隣の加茂市などからの参加も予定され、多種多様な甘味が集まりそうだ。また、別院内の旧御堂でも仏具や菓子を販売するが、互いににぎわいを創出する相乗効果にも期待した。入場無料で雨でも開催。