2014年に開館した三条市水防学習館が、地域の防災力向上に資する施設として国の「NIPPON防災資産」に認定され、22日、認定式が行われた。

NIPPON防災資産は、過去の災害の教訓を後世に伝え、住民の主体的な防災行動につなげる取り組みを国が評価・認定する制度で、昨年度、内閣服と国交省が創設した。とくに取り組みや施設が優れた「優良認定」と「認定」の2段階ある。
第1回の昨年度は全国で優良認定と認定が11件ずつの22件あり、新潟県内では、えちごせきかわ大したもん蛇まつり(関川村)が優良認定、 信濃川大河津資料館を拠点とした取組(燕市・長岡市)が認定となった。

今年度は全国では優良認定6件、認定4件が決まり、県内では三条市水防学習館の認定1件だけ。三条市水防学習館は三条市で9人の命が失われた2004年の7.13水害から10年の節目の14年、その7.13水害と11年の7.29水害を教訓に防災意識を高めようと設置された。
二度の大水害の教訓を伝えるため、リアリティーのある記録や写真の展示のほか、水害降雨再現シアターなどの体験型の施設を導入し、防災教育の効果を高めている。また、近隣自治体の教育委員会、旅行会社とも連携し、被災者の体験を聞く講座、水没車水圧体験、車ウィンドウ破壊体験など幅広い多様な防災教育プログラムを提供している点などが評価されての認定となった。

認定式では、国交省北陸地方整備局の高松諭局長、信濃川河川事務所・栗林孝典所長、三条市・滝沢亮市長、三条市水防学習館・五十嵐一浩館長の4人で認定証や認定プレートの除幕式を行った。
高松局長は、「防災遺産ではなく防災資産としたのは、それぞれの活動が過去のものではなく、現在、そして未来において価値を発揮し続けるものであってほしいという願いからのもの。皆さま活動によりこの資産価値をさらに高めていただきたい」と述べた。

滝沢市長は、来年になれば大学4年生も7.13水害を経験していないことになり、「水害の経験、記録をしっかりと次の世代につなげ、将来の災害に備えるというような取り組みを行っており、その中心的な役割を果たしているのがこの三条市水防学習館」と意義を話した。
「今回の認定は過去の取り組みだけが評価されたものではなく、将来もしっかり頑張れというメッセージと受け止めている」とし、今後も三条市の防災力を高めていきたいと決意を示した。