開学から5年になる三条市立大学(アハメド・シャハリアル学長、新潟県三条市)に校歌が誕生した。一般社団法人高波龍風記念財団(高波久雄代表理事・三条市)の資金提供を得て三条市出身で東京2020パラリンピック開会式で国歌を独唱した全盲のシンガー、佐藤ひらりさん(24)が学生からキーワードをもらって作詞作曲した「革新の翼」を完成させた。

校歌制作のきっかけは、一般財団法人高波龍風記念財団(三条市)の会長、高波久雄さんが大学の卒業式や入学式に出席して「校歌がないことに寂しさを感じた」ことだった。財団は毎年、奨学金を三条市立大に寄付している。
一方で高波さんは以前からコンサートの開催などでひらりさんを支援している。その2つの縁もあり、校歌の制作費用を財団が大学に寄付して、ひらりさんが制作することになった。
昨年5月に正式にひらりさんに制作を依頼してプロジェクトをスタート。歌詞に含めるキーワードを学生からも提案してもらった。

3日、大学で校歌完成セレモニーを行い、ひらりさんはキーボードの弾き語りで校歌を初披露したほか、高波さんからシャハリアル学長に制作費の贈呈、ひらりさんに制作秘話を聞いた。
曲名の「革新の翼」について佐藤さんは、「学生アンケートや先生方の言葉から『革新』と『挑戦』が強く印象に残った。羽ばたくためには翼が必要。三条から自由に飛び立ってほしいという思いを込めた」と語った。
学生との交流や大学の施設の見学、地元製造業の現場訪問を重ね、大学の空気感や三条のものづくり精神を体感。工場で耳にした金属を打つ音から着想を得て、リズムや伴奏に反映させたと言う。

校歌のイメージであえて裏拍を避けて表拍でリズムが取りやすくしたことで推進力のある曲に仕上がった。奇をてらわないメロディーは覚えやすく、サビは出だしでメロディーがはね、ルートが半音ずつ下がっていくドラマチックな展開になっている。
さらに「三条のものづくりは、古きを大切にしながら未来を生み出している。学生の皆さんがこの地で学ぶ意味を歌を通して感じてもらえたら」と学生へメッセージを送った。
この日は学生・教職員らによる合唱も行われ、会場が一体となった。続いて佐藤さんはオリジナル曲「月灯り」も披露し、ふるさと三条への思いを込めた歌声で聴衆を魅了した。

滝沢亮三条市長は「大学生だった頃の、自分はまだ何者でもないが無限の可能性があると信じていた気持ちを思い出した。この校歌は在学中だけでなく、卒業後に世界へ羽ばたく若者たちを後押しする歌になる」と期待を寄せた。
シャハリアル学長は「大学の理念と地域の歴史、未来への挑戦が力強く、しなやかな歌として結実した。この歌が学生一人ひとりの背中を押し、燕三条のものづくりの価値観とともに未来へ歌い継がれていくことを願う」と謝意を述べた。「革新の翼」の歌詞は次の通り。
三条市立大学校歌「革新の翼」
作詞・作曲 佐ひらり
1
五十嵐川の流れとともに
この地に流れる技術の息吹
鍛冶の音(しらべ)は ぼくらの鼓動
古き土台に未来の希望
地域のすべて学びに変えて
世界支える価値を生み出そう
過去を聞き分けみらい見据える
しなやかな心ともに磨こう
古(いにしえ)の言葉の
中に隠れていた
新たな夢の道
切り開く鍵
さあ 舞い上がれ
六角凧のように
この地から前へと
追い風受けて
さあ 立ち上がれ
心一つにして
ぼくらの手で生み出す未来よ
世界へ届け
2
ともに語ろう ぼくらの明日を
大きな夢にも形与えて
自分を見つめ試練を超えて
ここでの努力は自信に変わる
アカデミックステップ
それぞれの歩幅で
個性大事にして
まだ見ぬ空へ
さあ 舞い上がれ
革新の翼で
恐れない心で
先を照らして
さあ 立ち上がれ
挑戦も楽しく
ぼくらの手で生み出す未来よ
世界に光れ
さあ 舞い上がれ
六角凧のように
次へと受け継ごう
革新の羽
さあ 立ち上がれ
自由に羽ばたこう
ぼくらの手で生み出す未来よ
世界を作れ
ぼくらの手で生み出す未来よ
世界へ届け