結婚式場「ザ・ガーデンテラスおゝ乃」と割烹「餞心亭(せんしんてい)おゝ乃」を運営し、県央地域の婚礼・宴会需要を担う老舗として知られる(有)角屋(資本金2000万円、三条市横町2)が16日、新潟地裁三条支部から破産手続き開始決定を受けた。負債は債権者約51人に対し約6億円。破産管財人は坂西哲昌弁護士(片桐・坂西・阿部法律事務所、三条市東三条)。

帝国データバンク新潟支店の調べなどによると、同社は1897年(明治30)創業。鮮魚の行商を源流とし、三条市内で仕出しかっぽうへ業態を広げ、1973年(昭和48)年7月に法人改組した。三条市内の代表的な宴会場のひとつだった。
2001年6月期には年収入高約7億9157万円を計上し、婚礼や大型宴会を中心に安定した集客を維持していた。しかし、近年は冠婚葬祭の小規模化や価値観の変化により、1組当たりの人数減少や客単価の下落が進行。法人・団体の会合についても低価格化と開催件数の減少が続き、収益環境は徐々に厳しさを増していた。
20年以降はコロナ禍が直撃。婚礼や宴会の延期・中止が相次ぎ、21年6月期の年収入高は約1億1800万円まで急減した。コロナ対応で利用した実質無利子・無担保融資(いわゆるゼロゼロ融資)の返済負担も重なり、資金繰りが大きく圧迫されていた。
関係者によると、コロナ収束後は婚礼件数自体は一定ていど戻りつつあったものの、「1組当たりの人数がコロナ前の半分から3分の2ていどにとどまった」という。
最大時には金曜の利用で300人台後半に達していた総利用人数が、直近では160〜180人ほどに落ち込む月もあり、売上回復には結びつかなかった。
同社は部屋貸し切り型の営業形態を採っており、1部屋に複数組を入れることができない構造的制約がある。関係者は「件数は確保できても売上金額が届かない状況が続いた」と厳しい実情を明かす。
資金繰り改善に向け、昨年8月ごろからスポンサー探索や営業権譲渡の検討も進めていたが、有力な支援先は見つからず、金融機関との調整も難航。資金難の解消に至らなかった。
そのため16日付で営業活動を停止。予約客に対しては、2月・3月分を含め既存予約や仮予約について順次キャンセルの連絡を行っている。関係者は「利用予定者や取引先、従業員に大変申し訳ない」と話し、突然の事態に現場でも戸惑いが広がっている。
従業員はパート・アルバイトを含め約26人規模だったとみられる。同社は明治期の鮮魚商をルーツに120年以上の歴史を重ね、県央地域の婚礼・宴会文化を支えてきた老舗施設。近年、婚礼の少人数化や宴会需要の変化が進む中、地域のブライダル・宴会業界への影響は大きい。
宴会の規模は小さくなっても件数はそれなりに確保しいた。一方で「おゝ乃」からそれほど遠くない総合飲食店「春秋まるい」(旭町1)が、ことし3月いっぱいで閉店を決めており、三条市内で宴会場が足りなくなる性もありそうだ。