山形県米沢市の「米沢上杉まつり」で、上杉軍団行列の上杉謙信役を女性として初めて務めた新潟市中央区在住のモデル、五十嵐幸子さん(44)が、新潟県燕市国上の国上寺を訪れ、18年ぶりの御開帳を拝観した。

五十嵐さんは米沢市出身。2025年の米沢上杉まつりで、上杉軍団行列の謙信役に女性として初めて選ばれ、5月3日の行列で騎馬武者姿を披露した。謙信役はこれまで男性限定だったが、昨年から性別の応募制限がなくなった。
オーディションは、五十嵐さん以外はすべて男性。子どものころから謙信への憧れがあり、「足軽になりたいわけではなく、大将になりたかった」。女性にも門戸が開かれたことを知り、応募を決めた。

米沢では小学校に謙信の肖像画が掲げられるなど、謙信は身近な存在だった。五十嵐さんの自宅近くにも謙信の御霊をまつる場所があり、「すごく身近で、すごくかっこいい人というイメージだった」。
上杉軍団行列では、五十嵐さんも乗馬の練習を重ね、馬に乗って市内を練り歩いた。行列は約1時間。出発前には儀式もあり、謙信役を演じきった。
「見る側とやる側は全然違った」と五十嵐さん。祭りを見ているときは楽しい、面白いという感覚だったが、演じる側になると「自分が生きてきた土地を守ってくれた人たちがいたから今、穏やかに暮らせるんだなと思った」と言う。
その経験が、謙信やゆかりの地への関心をさらに深めた。14日朝の情報番組で国上寺の御開帳を知った。10日から5月日まで18年ぶりの御開帳が行われていると紹介された。

国上寺が謙信ゆかりの寺であることを知り、「見逃したら次は遠い先になってしまう」と、その日の午後には国上寺の本尊の前に立った。
国上寺は謙信にとって公式な祈願寺で、重要な戦の節目などには自ら足を運び、仏前に手を合わせて勝利を祈ったとされる。今回の御開帳では、謙信寄進と伝わる三千仏の掛け軸も公開されている。
拝観を終えた五十嵐さんは、公開された秘仏の愛染明王なども美しい状態で残されていることに驚き、「ずっときれいに保つには相当な手がかかると思う」と、文化財を守り続ける寺の努力にも思いを寄せた。

謙信役の体験を通して見る国上寺は「ここで謙信公が手を合わせていらっしゃったのかなと思った。想像するしかできないけれど、その時代に生きていた人たちの覚悟や考え方は、今とは全然、違うんだろうなと思う」と感慨深く話した。
注目を集めているイケメン絵巻にも目を留めた。画家の木村了子さん(54)=東京都=が制作したもので、2019年に本堂壁画を描いたのに続き、今回の御開帳にあわせて方丈講堂を第二弾を制作。謙信も描かれている。

「驚いた。静かで落ち着いたお寺に、ああいう絵があるのがおもしろい。こういう絵が好きな若い人にも、たくさん見に来てほしい」と、五十嵐さんは若い世代が寺や歴史に触れるきっかけにも期待した。
女性初の謙信役という大役を務めたことで、五十嵐さんにとって謙信は、憧れの存在から、より深く知りたい歴史上の人物になった。国上寺の御開帳は、その思いをさらに強くする機会になっていた。