『にゃーご』や『おまえうまそうだな』の作品で知られる人気の絵本作家、宮西達也さん(54)による講演会が9日に燕市児童研修館「こどもの森」で開かれたのに続き、16日から10月2日まで燕市立図書館で宮西達也絵本原画展が開かれている。
展示している原画は宮西さんの絵本12作品から合わせて50点。ネコと3匹のネズミでストーリーを展開する絵本『ちゅーちゅー』の全ページの原画と、そのほかの作品『にゃーご』、『ちっちゃなトラック レッドくん』、『ぶたくんと100ぴきのおおかみ』などは一部のページの原画を展示している。
宮西さんは元イラストレーターだけに、絵本を通してばかりでなく原画1枚だけでも作品として完結するほど完成度が高い。『ちゅーちゅー』では、一本一本ていねいに描き込まれた草、塗りつぶしたような部分を良く見ると角度を変えたたくさんの線を引いて手描きの味わいや柔らかさを表現しているのがわかる。
一方、恐竜が登場する『おまえうまそうだな』やウルトラマンシリーズの『パパはウルトラセブン』では逆に、ベタな塗りの数色の限られた版で作成した、版画のような作品。版ずれなどのおもしろさも巧みに生かし、ポップな作風が魅力だ。
ほかにも展示している原画の絵本をはじめ、同図書館が所蔵する宮西さんの絵本も展示。3作品の原画の下絵も展示している。そのうちのひとつが『オオカミグーのやさしいひみつ』。このタイトルをおかしいと思った人はかなりの宮西さんのファンだ。出版された絵本のタイトルは『オオカミグーのなつかしいひみつ』で、下絵段階の「やさしい」が出版時は「なつかしい」に変わったのがわかる。
もちろん絵も下絵と作品を見比べると違いがあり、木に空いた穴からイタチが倒れているオオカミをのぞく様子を描いた作品は、制作の過程で構図が一変。下絵では離れた視点から左にイタチ、右にオオカミを配置したが、絵本では木の穴から下のオオカミを見下ろすイタチをイタチの背中越しの視点で遠近感を強調し、両者の立場や気持ちをダイナミックな構図で見事に表現している。
先の講演で宮西さんは再三、絵に込めた思いをくみとってほしいと求めたが、その宮西さんの思いも感じ取ることができる原画展となっている。月曜は休館日で火曜から金曜は午前10時から午後6時まで、土、日曜は午後4時まで開館。入場無料。