燕市産業史料館では、3日から19日まで開いている「松浦靖 世界のスプーン展 第2章〜スプーンで巡る世界遺産の旅」にあわせて5日、作品解説会を開き、展示しているスプーンを収集した松浦靖さん(75)=京都府京田辺市=を講師に収集にまつわるエピソードを聞いた。
松浦さんは同志社大学職員だった時代からこれまで約30年間、世界を旅して111カ国・地域の2,500本のスプーンを収集した。2009年にも同史料館は松浦さんのコレクション展を開いており、3年ぶり2回目のスプーン展。今回は世界遺産が描かれたスプーン約200本と新たにコレクションに加わった6カ国の約70本も展示している。
松浦さんは、2日から6日まで燕市に滞在して展示の準備も手伝った。今も年に一度は海外へ収集に出掛けているだけに、とても75歳には見えない若々しさで、世界各地をたずねて土産用のスプーンをコレクションするようになったいきさつをはじめ、展示しているスプーンをプロジェクターで拡大して映し、それを入手した背景やそれぞれの土地の歴史、文化、民俗などに話を広げた。
イタリアのポンペイ遺跡、チリのパルメラ遺跡、ヨルダンのペトラ遺跡、クロアチアのドゥブロヴィニク旧市街と、世界遺産が描かれたスプーンを次々と紹介。「スプーンは自己表現でもあり、スプーンを通じて未知の世界が現れてみたりします。この年になってまだ発見があります」とスプーンの奥深さを伝えた。
一方、国内には世界遺産をモチーフにしたスプーンがほとんどないことを残念がり、佐渡鉱山の遺産群が世界遺産になることを願って、佐渡で見つけたトキや佐渡おけさを柄にかたどった金色のスプーンを展示していることも紹介した。
松浦さんのスプーンに関する情報はきりがないかと思うほど広く、深く、約1時間の作品解説会で話した内容は、そのほんの入り口。会場には約20人が訪れて聞き入っていたが、その後も展示会場で直接、展示したスプーンを前に松浦さんに質問し、解説を聞いていた。