これまでは客観的な話を書いてきたが、個人的には岡本君の出身地、岡山県には特別な思い入れががある。大学時代、一緒にバンドを組んでいた岡山県倉敷市出身の友人から芋づる式に同郷のその友人と親しくなった。魅力的な変わり者ばかりだった。全国を飛び回るスロットマシンのプロや大阪には何かあると言いながら大阪へ行き、大阪には何もなかったと岡山に戻った奴もいる。
岡山の連中は、気が付くと「お前の母ちゃん出べそ」レベルの口げんかが始まっている。悪ガキがじゃれているようなコミュニケーションが彼らの流儀だった。人見知りするおとなしい新潟県人にとってはそんな関係が何ともうらやましかった。
国内旅行の南限は岡山だ。もう四半世紀も前になる。倉敷のアイビースクエアで開かれた岡山の友人の結婚式に出席した。引き出物が燕市のメーカーの洋食器セットだったのには笑った。珍しく雪の降る中国自動車道、鏡のように穏やかな瀬戸内海に浮かぶノリの養殖と思われる四角い枠、オフシーズンで貸し切りのようだった鷲羽山ハイランド。今も脳裏に焼き付いている。
当時の友だちと会っても、すでにお互い、いい年のジジイだ。懐かしいだろうが、それ以上に過ぎ去った長い年月を痛感させられる気がする。一方、岡本君とは親子ほども年齢が離れているというのに、不思議なくらい大学当時の岡山の友だちと同じ雰囲気をもっていた。話していると自分が大学時代の感覚に戻っていくのがわかる。まるでタイムマシン。もっとも、カラオケで今どきの歌を熱唱する岡本君にはさすがに世代の違いを感じたが。
三十路を前にして岡本君もご両親から結婚のプレッシャーがかかっているらしい。燕市役所内でも燕市で嫁をもらえという勧めが盛んにあり、ちょっとした縁談話を持ち込む人もあったようだ。残念ながら先の武雄市の池田君と同様、それはかなわなかった。鈴木市長からも同様に勧められたようだが、早々に「でもうちの娘はダメ」と冗談まじりに釘をさされたらしいのは、ここだけの話にしておこう。
そんなわけで岡本君、戸隠神社の春祭りで待ってるよ!。