国定勇人三条市長は6月3、4の1泊2日で富山県富山市を訪れ、国内初の本格的なLRT「富山ライトレール」をはじめとするLRTネットワークと立山カルデラ砂防体験学習会を視察した。そのLRTの視察を取材し、連載でお届けする。
「LRT」と言っても、耳慣れない言葉である人がほとんどだろう。「LR」は「ライトレール(Light Rail)」の略。それに交通などの意味の「トランジット(Transit)」を加えて「ライトレール交通」、つまり「LRT」となる。
定義や概念に踏み込むと深み入ってしまうが、一般的なイメージは軽量級の鉄道で、低床や電停のバリアフリー、低騒音化などが特徴の近代的な路面電車というところだ。
富山市のLRTネットワークの形成は、大きく富山港線路面電車化事業と市内電車環状線化事業の2つがある。富山市内は富山駅南側を走る路面電車「富山軌道線」、富山駅北側から北の富山港へ伸びる専用軌道の「富山港線」があり、市内の公共交通として定着していた。その既存のインフラを生かす形でLRTネットワークの形成を進めた。
まず富山港線をJR西日本から引き継ぎ、一部を路面電車化して2006年に富山ライトレールを開業した。そこを走る車両は通称「ポートラム」。
そして富山軌道線は、路線が縮小されていたが、0.9kmの区間を延伸、環状線化して09年に開業、こちらは「セントラム」。軌道整備事業者は富山市、軌道運送事業者は富山地方鉄道と、公設民営の手法をとった。
と書いても、なかなかイメージはつかみづらいだろうが、ざっくり言えば、じり貧だった富山市内を走る在来線や路面電車が最新鋭のデザインもおしゃれなLRTに生まれ変わっておまけに使い勝手も良くなり、結果的に利用者も大幅に増加したというところか。
もちろん、来年度の北陸新幹線開業で、富山駅に新幹線が乗り入れを視野に入れた事業。同時に富山駅周辺事業にも取り組んでおり、富山港線と富山軌道線も接続してさらに便利になり、新幹線の改札からセントラムとポートラムが見える空間をつくり出す。
都市整備事業のさまざまな取り組みが「コンパクトなまちづくり」に向けて見事に集約され、目に見えるものだけではなく、構想自体も美しい。百聞は一見にしかず。富山市の描いた都市整備に込めた思いをLRTで体感してきた。