加茂高校演劇部(部員22人)の滝口さんは、岡田さんの指導を受けてみようと思ったことについて、「自分が視野を広げれば、それを部活仲間に伝えて貢献できるのではと思って」と言う。岡田さんに教わって「目指してたものがまったく見えてなかった。あらためて自分に足りないものを痛感した」と言う。
さらに「もっと客を意識して、役者になりきって。とにかく客に届かなければ意味がないと強く思うようになった」。岡田さんについては、「遠回しな抽象的な言い方をしない。先生としてだけでなく、個人の人として好きです」と滝口さんにとって尊敬すべきあこがれの存在だ。
小林さんは三条東高演劇部(部員14人)の部長。1年生のときに2年生部員はゼロ。3年生から指導を受け、2年生になると3年生が卒業して先輩がいなくなった。「学ぶ時間がないまま先輩がいなくなった。部長になって何をやったらいいかわからず、1年生を指導するために何かやらなければ」と指導を受けるようになった。
同じ2年生部員の石井さんは「ここに来てから客を意識することができるようになった」。新たな芝居のおもしろさに気づき、「死ぬまで芝居をやりたいと思うように」なり、将来は「心理学とか演技が生かせるようなことをしたい」と言う。
練習しているのは、滝口さんが書いた詩を使い、音楽に合わせた数分間のパフォーマンス。10月ころに三条マルシェで発表できればと取り組んでいる。
岡田さんは東京都立川市の出身。演劇をやりたいと思ったのは「小学校2年生のときにオペレッタをやって主人公の男の子になれなかったからかも」と振り返る。「自分が主人公でないのが悔しくて、当日になっても主人公の子が休めばいいと思っていた」と、自分の嫌な一面にも向き合った。
良くは覚えていないが、4年生のときに隣町の演劇に出演することになった。主人公なのになぜか当日、会場へ行かなかったが呼び出され、30分遅れで幕が開いた。「トリップして最初の自分にスポットライトがパーンと当たって。あの気持ち良さを忘れないし、思いのほか良くできた」。その感動は今も忘れない。
演劇を続けたかったが、理由もわからず両親には猛反対された。中学、高校でも演劇部には入らなかったが、舞台への思いは募るばかり。高校を卒業するとタレント事務所に入った。グラビア撮影などを求められたが、「わたしは演劇をやりたかった。演技のない仕事はやりたくない」と事務所を辞め、その後もいくつか事務所に所属。映画「フラガール」や「電車男」に端役で出演している。