少子化を含めた地方創生
鷲尾英一郎氏:地方創生は地方独自で取り組まなければいけない。中央から何か言われてやる話じゃない。究極、人の流れを変えるには首都機能移転を行う。
これはかなり遠大な話で、当面の具体策で、燕の中小企業は年を越すとドイツに行ったり、東京のビッグサイトの展示会に出てビジネスマッチングをするところが多い。これを新潟でできないか。国際展示場を東洋で名立たる国際展示場を作り、ビジネスマッチングをする。
選挙区には佐渡と柏崎があり、カジノ法案が国会でかかっているが、佐渡にカジノをもってくるのもひとつの地方創生のアイデア。海を渡ってエンターテインメントに行くのは非常に心踊る体験。柏崎には原発や自動車関係の産業があるが、もうひとつの産業としてアウトレットモールをつくるのもいい。
アウトレットで買い物したが人が対岸の佐渡のカジノに行く、あるいはカジノに行った人が海を渡ってアウトレットで買い物する。こういう提案も地方創生のひとつの手だ。
渡辺英明氏:新潟県は都市と農村がともに手を携えて生活していける基盤がまだ残されている地域。まず何よりも農業を大切にしたい。私たちの命を支える食を提供してもらうのだから。
再生産可能な農産物価格は国が保障すべきだ。そのうえで農業のもつ環境保全生や中山間地農業に対し直接、支配を行うべきだ。再生産できる価格で農産物が地域で売り買いされ、農民も地域の商店で買い物するようにする。こうして地域でお金が回れば、地域経済は維持できる。
TPPに加わって農薬漬けのコメや野菜を買うのはやめよう。農村や地域の商店街に笑い声が聞こえ、活気が見えれば若者たちは寄ってくる。げんに福島原発事故以降、都会から農村や地方へ移住する若者たちが増えている。消滅都市と言われている所でも人口が増えている所がある。
地方に暮らすわたしたちは、わたしたちなりの知恵を出し合って伝統を大切にしながら本当の意味での地方創生に取り組もう。五輪誘致やリニアモーターカーによる東京中心の経済成長スタイルは、すでに時代遅れ。新潟県の豊かな自然に抱かれながら、土地の資源を生かし、ふつうの暮らし、当たり前の営みができる、そんな地域社会をつくっていきたい。
五位野和夫氏:地方創生というのは、第一次産業をどう立て直すかということが最も重要。それ抜きに農業、農村地域に暮らす人々に希望を示すことはできないと思う。
付加価値を上げ、いかにコストを下げるかに目標を置くべきだ。そうでなければ農家が残るのは難しいという論もあるが、やはりそれは自由化路線をあらため、価格の保障をしていかなければならない。
若者の置かれた状況も1990年代から労働法制の連続改悪によって不安定、低賃金の雇用、ブラック企業が横行し、夢や希望を奪われている。国の指導で非正規雇用の改善も必要。さらに地域の医療、介護サービス、子どもの医療費の無料化、産科、小児科の地域医療の充実が必要。
本気で地方の人口に歯止めをかけるつもりなら、国がこうした自治体の取り組みや市長会の要求に応えるべきと思う。また、地方活性化に逆行する消費税増税10%の引き上げもあらためて断念すべきことと思う。
細田健一氏:人口減少への対応と地方活性化というふたつの軸がある。人口減少への対応は相当、抜本的なことをやらないと大変だ。
例えば人口減少地域で子どもを3人以上、生んで育てる家族には税金も医療費も交通費も全部ただにするというように相当、子育てをやっている若い世代に対する支援、優遇措置を抜本的に向上させる必要がある。いずれにしろ子育て世代に対する資源配分をもっと厚くしていく必要がある。
地方活性化は、新潟の特色、新潟二区、例えば佐渡は恐らく東京五輪までにできると思われる世界遺産の登録による観光の活性化、燕ならネットワーク型のものづくりのまちというのは、なかなか日本全国ほかに探してもなく、その特徴を生かしてものづくり振興をやる、あるいは産業観光振興をやる。
柏崎刈羽なら日本的なエネルギー政策のショールームにするといった、それぞれの地域の特性を生かして地方活性化策が考えられる。