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3月の第3日曜の18日に燕市成人式、1日おいて「春分の日」の20日に三条市成人式が行われた。新成人はどちらも似たようなものだったが、燕市の鈴木力市長と三条市の国定勇人市長の式辞は、好対照だった。
鈴木市長は、きっちり準備をし、書き物に目を落として基本的に式辞のフォーマットにのっとり、スムーズな論理展開。細部も推敲を繰り返したことは明かで、美しい文体で文章を練り上げた。若い世代に人気のデュオ、ゆずの歌詞の一節を引用し、新成人の琴線もねらう心憎い気配りだ。
一方の国定市長は原稿をもたず、新成人の顔を見据えて話した。以前、成人式の式辞は自分にとって大きなものととらえているなどと話していた。完全原稿をつくるのではなく、おそらく大まかな流れだけを決め、あとはその場で文章を編み、新成人の反応もフィードバックして話しているのだろう。国定市長ならではの瞬発力を最大限に生かした情熱的な式辞。この手法は素人が真似をすると大けがするのでやめた方がいい。
式典の会場は三条市より燕市が騒がしかった。壇上から注意するのはギャンブル。新成人を逆ギレさせて増長させる可能性もある。鈴木市長が騒ぐ新成人をスルーしたのに対し、国定市長は2度にわたって新成人をたしなめた。このでも国定市長は情熱的で、見事に騒ぎをしずめてみせた。
しかし、話の要旨は似通っていた。互いに東日本大震災を国定市長は「国難」、鈴木市長は「未曾有の大震災」と取り上げた。鈴木市長が明治維新や戦後の経済復興を「若い力」が切り開いたと言えば、国定市長は自身はすでに40歳の壮年だが20歳は「素晴らしい感受性の持ち主」とその可能性に期待した。いずれにしろ力の入った式辞で、あらためて全文を起こしてみた。
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