まずもってことし新成人になられました皆さま方の心からの門出をお祝い申し上げたいと思います。本当におめでとうございます。たかだか3分間ほどのスピーチですから黙って聞いてください。わたしはこれまで成人式の場面でいっぱしのおとなとして、先輩として、皆さんの先輩方にいろいろなことを申し上げてきました。
しかしながら今回は私はそのような偉そうなことを申し上げるつもりはありません。なぜならば私はたかだか皆さんからわずか2倍のことしで40歳になる身に過ぎませんし、この1年間、3月11日以降、さまざまなことを経験したなかで今、振り返りますと私自身が3月11日までに経験してきた39年間のことというものは、本当に赤子のようで実に経験値の低いものだというふうに痛感したからであります。
最後までちゃんと聞いてください。3月11日の東日本大震災発災以降、私自身、本当に個人的に震災を目の当たりにし、震えおののき、これから先の将来に対して不安感をもち、原発事故はどんどん深刻化していくなかで、この国の行く末を本当に憂え、どうしたらいいのかということをただただ思い悩み、そんななかで人と人との絆の大切さということをそれこそ赤子が経験を重ねるように私自身も経験をしてまいりました。
そうした1年の思い悩み、苦しみというものは、決して私だけが負担したものではないはずです。皆さんもまったく等しくこの1年間、同じ歩みをこれまでの間、思い悩みながら歩んできたはずです。ですから、私と皆さんは今、まったく同じステージに立っていると思っております。